Q:A社には工場があります。工場を一括して担保にとることはできないのでしょうか。
A:工場の土地建物が未だ差押、担保設定のされていない物件であれば、土地建物のみならず機械器具、特許権、商標権などの工業所有権の有形無形の財産をあわせて工場財団とし、一括して根抵当権を設定する方法があります。工場財団とすれば、個々の土地建物に抵当権設定登記をしなくてもよいというメリットがあります。工場財団の登記は不動産登記簿ではなく、工場財団登記簿という特別の登記簿になされます。
逆に、未だ差押や担保設定のされていない工場の土地建物を担保にとろうとする場合、工場財団になっていないかを注意すべきです。工場財団になると個々の財産の譲渡や担保設定はできなくなるからです。不動産登記簿の甲区欄の末尾に工場財団に属した旨の記載が載っていますので、それを見落とさないように注意する必要があります。
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弁護士 田中宏幸