弁護士コラム

取引先が自社売り商品を転売した場合の売買代金の回収方法

Q:前回の設問において売却した商品が取引先(B)から第三者(C)に転売されています。この場合の売買代金の回収方法として確実な方法はありますか。Bが破産宣告を受けたときはあきらめざるを得ないのでしょう。

A:この場合、動産売買の先取特権の「物上代位権」という権利によって、BのCに対する売買代金を差押する方法があります。但し、CがBに対して代金の支払いをする前に差押をする必要があります。
そして、この差押手続を進めるには、①Bに対する売掛債権を証明すること、また②BC間の転売の事実を文書によって証明することが必要になります。①は、貴社とBとの間の売買契約書・請求書・納品書等によって証明することができます。②については、BC間の売買契約書・請求書・納品書等によって証明することになりますが、BあるいはCの協力がなければBC間の転売の事実を証明することは事実上困難になります。
Bが破産宣告を受けた場合でも、先取特権の物上代位権は破産手続とは別個には保護はされます。つまり、破産手続とは関係なく、転売代金を差押さえることにより、債権の回収を図ることができますが、上記①②の証明は必要となります。

大阪・難波の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸