弁護士コラム

売掛債権を譲り受ける際の注意点

Q:取引先の売掛債権を譲り受けるにあたっての注意点を教えてください。

A:
前門を例にとりますと、
1.まず、乙丙間の契約内容を調査する必要があります。売掛債権について譲渡禁止特約の有無、売掛金の額、支払日、支払方法などを調査します。
2.次に、丙の信用状態を調査します。特に、言い掛かり的なクレームを主張して、値引きや支払拒否をするような債務者かどうかも調査します。
3.さらに、相殺の抗弁の有無を調査します。丙が乙に対して売掛金債権を有していないか、乙の売り渡した商品に瑕疵がないかなど、丙の乙に対する債権の有無を調査します。
4.そして、譲渡を受ける債権に付随する利息債権、担保権などを確かめておきます。特に抵当権などの物的担保があるときは「抵当権移転の付記登記」を行い、抵当権自体についての対抗要件も具備することを忘れてはいけません。
5.債権の譲受けは、必ず甲の乙に対する債権の担保(譲渡担保)として譲り受けることが大切です。決して代物弁済として譲り受けることはしてはいけません。代物弁済にすると甲の乙に対する債権がこれにより消滅してしまい、譲り受けた債権の回収ができなくなる等のトラブルが発生した場合に損害を被ってしまうからです。
6.もし、乙の手元に優良な受取手形が残っているときは、その手形に乙の裏書をしてもらって交付を受けるとよいです。

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田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸