Q:私はバブル経済の真最中に自宅を購入して30年の住宅ローンを組み、毎月6万円、ボーナス時30万円を支払ってきました。ところが、バブル経済の崩壊の影響で、ボーナスが減少してきたことから、住宅ローンのボーナス払が苦しくなり、銀行のカードローンで借りるようになりました。また、子供たちの学費や入学金等も教育ローンで借入してまかなうようになり、次第に住宅ローン以外の返済も苦しくなってきました。そこで、やむなく消費者金融業者から少しずつ借入するようになり、気がつくと私の借入金が雪だるま式に膨れ上がってしまい、住宅ローン以外の借入金が600万円にもなってしまいました。毎月の支払は住宅ローンの他に約20万円にもなり、とても払っていけません。
自宅を守って債務を法的に整理する方法はないでしょうか。
A:ご質問のケースは、自己破産をして、免責決定が確定すると、借入金は住宅ローンも含めてゼロにすることができますが、自宅も失ってしまいます。
自宅を守るための方法として、個人再生手続があります。この手続では、住宅ローンは支払っていくのですが、それ以外の借入金600万円は、その5分の1である120万円を原則として3年の分割払(月額33,333円)をすることになります。この分割払を3年間怠ることなく返済すれば、借入金の残りの5分の4(480万円)は免除されることになっています。このため、3年が過ぎると、あとは住宅ローンだけを支払っていけばよいのです。
この個人再生手続は、住宅ローン付きの自宅を守るための救世主のようなものです。あなたの収入などの条件によっては、ボーナス払をなくしてその分を月払いに組み込んで月払いだけにするなど、住宅ローンの返済方法を組み替えることができる場合もあります。
但し、この個人再生手続で自宅を守るためには、自宅に住宅ローンの抵当権以外の(根)抵当権が設定されていないこと等の条件があります。また、住宅ローン以外の借入金の返済総額(本件では120万円)は、あなたの財産総額が120万円以上、例えば、150万円あれば、返済総額が120万円ではなく、150万円になるといった制約もあります。ただ、この財産の評価の仕方について、あなたに有利な点もあります。
その他、あなたの収入がある程度安定していること等、個人再生手続を利用するための要件がいくつかありますので、一度、個人再生手続を取り扱っている弁護士等に法律相談されるとよいでしょう。
弁護士 田中宏幸