弁護士コラム

遺産分割調停での不満

Q:遺産分割調停が申立てられ、私は相手方として呼び出しを受け家庭裁判所に出頭しましたが、調停委員は申立人の味方ばかりして私の言い分を聞いてくれません。どうすればよいでしょうか。

A:確かに、遺産分割調停において、出席した当事者から「調停委員が相手の味方ばかりする」という苦情を聞くことがあります。

しかし、調停はどちらの当事者の言い分が正しいかを決めるものではありません。当事者の意見を聞いて適正妥当な解決策を考える場ですから、調停委員が相手方の言い分を聞いてあなたに伝え、質問してくるのは、当然の手順です。ですから、調停委員が「申立人の意見はこうだった。」ということを述べたとしても、調停委員が申立人の言い分を信用したと受け取る必要はありません。

もっとも、調停委員の大半は法律の専門家ではありませんから、特別受益、寄与分などについて正確な知識のないことがあり得ます。また、調停委員が他方の当事者に感情移入してしまうこともないわけではありません。 そこで、事実関係を正確に理解してもらう方法として、ご自身の言い分を文書化して提出し、その根拠となる資料を添付することです。

もし、言い分の中に、遺産の範囲、寄与分、特別受益等が問題になっているときは、これらの点を正確に主張する必要があります。このような場合は、弁護士に依頼されるのが賢明です。

 

弁護士 田中宏幸