弁護士コラム

遺産分割の審判(その1)

Q:遺産分割の調停中ですが、調停案が示されました。もし、調停案に不服の場合は、調停不成立となり、審判に移行することになると言われました。審判に移行した場合、不利になることはありますか。

A:遺産分割の審判は裁判官が一切の事情を考慮して、遺産分割方法を決定する手続ですので、場合によっては不利になることもあり得ます。

調停手続は、相続人による話し合いですので、相続人や遺産の範囲、特別受益や寄与分などを含めて話し合うことができます。これに対し、審判手続は、相続人や遺産の範囲に争いがある場合は、その問題を予め解決しておかなければなりません。このため、審判前に通常の民事訴訟の手続を行う必要が出てきます。

また、審判手続に移行しますと、寄与分について調停手続で主張していても改めて寄与分の審判申立が必要になります。

さらに、預貯金などの債権は、相続開始時点で当然に相続分に応じて分割されることとされますので、審判の対象から除外されます。このように、審判手続に移行すると、調停手続とは異なり、柔軟性に欠ける面が出てきますので、注意が必要です。

 

弁護士 田中宏幸