Q:前回の質問の続きなのですが、母の相続財産の中に、賃貸不動産があり、長兄がこれまで賃料収入を受領し続けています。この賃料収入は月額20万円ですので、これまでの15年間で3600万円にもなります。この賃料収入の3分の1を長兄に請求できませんか。
A:相続財産の中の不動産から生じる賃料は、法定果実といい、相続財産に含まれません。相続人が法定相続分に応じて取得することになります。つまり、あなたは3600万円の3分の1の1200万円を取得していたことになります。従って、長兄に対して、1200万円の返還請求権があります(不当利得返還請求権)。ただ、この請求権は、債権発生のときから10年で消滅時効にかかります。
従って、長兄から消滅時効を主張されると、直近の10年分の賃料分(2400万円)の3分の1の800万円しか返還してもらえなくなってしまいます。
弁護士田中宏幸