弁護士コラム

相続放棄⑴ ―借金を相続したくないとき―

Q:長年音信不通だった父が死亡したと聞きました。父は事業
に失敗して約2000万円の借金があることがわかりました。
他に目欲しい財産はありません。借金を相続したくないので
すが、どうすればよいでしょうか。

A:お父さんの死亡を知った日から3か月以内に、相続放棄の
手続をすれば、借金を相続することはありません。相続放棄
をすると、放棄した人は元々相続人でなかったことになりま
すので、お父さんのプラスの財産(積極財産)も相続する権
利がなくなります。
また、一旦相続放棄すると、これを撤回することができま
せん。もし、相続放棄をする前に、お父さんの財産の一部を
処分すること(例えば、預貯金を引き出して自ら取得するこ
と)などがあると、相続について「単純承認」したものとみ
なされて、相続放棄できなくなります。つまり、プラスの財
産もマイナスの財産(負債)も相続することになりますので
注意して下さい。

弁護士 田中宏幸