弁護士コラム

遺言書の破棄

Q:足の骨折で入院中の父親の自宅を整理していたら、父親自筆
の遺言書を見つけました。
その内容は、兄が無理に書かせたものだと思います。このよ
うな遺言書は捨ててしまってはいけないのでしょうか。どうす
ることもできないのでしょうか。

A:お父さんの遺言書を勝手に捨てることはもとより、隠したり
することはできません。
もし、このようなことをすると、相続欠格事由といって、お
父さんの相続権を失うことになっています。
このような場合、お父さんに遺言書を作り直して欲しいと頼
むことになるのでしょう。遺言は本人の自由意思によって作成
されるものですから、お父さんに無理強いすることはできませ
ん。詐欺や強迫によってお父さんに遺言をさせたり、遺言の撤
回をさせても、相続欠格事由となります。
お父さんが自由意思に基づいて遺言書の作り直しを希望され
るのでしたら、そのときは公正証書遺言によって、前の遺言書
の撤回と新たな遺言内容を作成されるのがお勧めです。出張費
はかかりますが、公証人は病院に出向いてくれますので、公正
証遺言は作成できます。

弁護士 田中 宏幸