Q:「建物利用の必要性」のうち、「賃貸人が事業のために使用する必要が
ある場合」について、教えて下さい。
A:この場合は、前回の「賃貸人の住居として使用する必要性の場合」ほど
ではありませんが、借家契約の解約の「正当事由」として評価されます。
例えば、賃貸人が六畳一間に家族4人が暮らし、賃貸人自身は左目失明
のため仕事ができず、頼りとしている長男に牛乳店を開業させる必要があ
るのに対し、賃借人は専ら倉庫としてのみ使用している場合のケースでは、
「正当事由」が認められました。
一般的に、賃貸人の側に、生計を維持するために建物を使用する必要性
があるという場合には、借家契約の解約の「正当事由」が認められやすい
と思われます。
弁護士 田 中 宏 幸