弁護士コラム

相殺のための買掛債務の発生時期column

2014.06.06

Q:B社は、A社(債務者)に対して1000万円の売掛金があります。今回A社の商品を300万円で購入して相殺しようと思っています。当社の購入日に関係なく相殺できますか。

A:例えば、次のような事実関係があった場合はどうでしょうか。

3/13 A社が2回目の不渡りを出したことを知った日
3/15 A社が破産を申し立てた日

 B社は、原則として、A社に対する300万円の買掛金とA社に対して有している1000万円の売掛金とを対当額において相殺することができます。
 しかし、支払の停止または破産申立があったことを知ってB社がA社に対して300万円の債務を負担したときは相殺できません。設例では2回目の手形の不渡りを出せば取引停止処分を受けるので支払停止にあたります。
 従って、3/13以降にA社の商品を購入して買掛金を負担した場合は相殺できません。
 なお、相殺できないときは、売掛金については破産債権として僅かな配当を受けることもありますが、A社の破産管財人がB社に対して300万円の取立を行うことになります。
 従って、A社に支払停止や破産申立が予想されるときの債権回収の方法としては、これ以後に300万円の債務を負担して相殺することを考えるよりも、むしろ1000万円の売掛金の代物弁済としてA社の商品を取得する方が回収の方法としてはベターでしょう。このときは、代物弁済契約書を交わして下さい。

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