弁護士コラム

登記簿上の取締役個人に対する請求の可否column

2014.04.08
Q:取引先のA社が倒産し、1000万円の債権が回収できていません。よく調べると社長と呼ばれていた人は実は従業員に過ぎなくて、登記簿上は他に代表取締役1名、平取締役2名いることが判明しました。これらの登記簿上の取締役個人に対して何か請求できませんか。

A:まず、登記簿上の取締役が株主総会での選任決議を経た取締役である場合には、従業員に業務執行を任せていた取締役の任務懈怠があり、「悪意または重過失」が認められる場合がありますので、このような取締役に対しては損害賠償の請求ができる場合があるでしょう。
次に、取締役の登記はあるが株主総会での選任手続を経ていない場合(いわゆる表見取締役)には原則として損害賠償は請求ができません。しかしこの取締役らが不実の登記を承諾していたり、不実の登記を知ってこれを漫然と放置していた場合には損害賠償を請求することができる場合があります。

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