弁護士コラム

特別受益者column

2014.10.06

Q:先日、父が亡くなりました。兄と私の2人が相続することになりました。
 兄は5年前、父に商売の資本金として1000万円を出してもらっています。相続時の父の遺産は4000万円です。
 公平な分配方法はどうしたらよいでしょうか。

A:お兄さんのように、お父さんから生前に遺産の前渡しの趣旨で贈与を受けた者や遺贈を受けた者を「特別受益者」といいます。
 このようなときは、死亡時の遺産4000万円に生前贈与の1000万円を加えた計5000万円を遺産と考えて(みなし相続財産)、一応の相続分を算出します。
 そうすると、あなたとお兄さんの相続分はいずれも(4000万円+1000万円)×1/2=2500万円と一応なります。
 お兄さんの具体的な相続分は、この2500万円からすでに贈与を受けている1000万円を控除した1500万円となります。
 あなたの相続分は2500万円のままです。
 ただし、生前贈与であっても、被相続人が上記のような持ち戻しをしないという意思表示(持ち戻し免除の意思表示)のもとに贈与している場合は、例外的に上記のような扱いはしません。これは被相続人の意思を尊重するためです。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005