弁護士コラム

任意後見契約column

2015.04.20
Q:私は現在70歳で夫は他界し、子供はおらず、一人暮らしです。今のところ身の回りのことや財産の管理はできますが、将来、痴呆や交通事故などにより、身の回りのことや財産の管理ができなくなったときには、普段から親しくしている亡夫の姪にお願いしたいのです。しかし、ほとんど付き合いのない私の兄弟姉妹が何かと口出ししてきて姪に迷惑をかけるのではないかと心配です。法的に姪が私の後見人として兄弟姉妹に遠慮することなく動いてもらえるようにする方法はないでしょうか。

A:任意後見契約を姪と締結する方法があります。この契約をしておくと、あなたが元気なうちは、身の回りのことや財産管理はご自身でこれらのことができない状態になったときは、姪があなたの後見人(任意後見人といいます)として、あなたの療養看護や財産管理をすることができるようになります。姪が後見人になってから月額数万円の報酬を支払うことを予め約束しておくこともできますので、姪に遠慮することもありません。後見人を監督する人(任意後見監督人)を家庭裁判所が選任してくれますので、安心です。なお、この任意後見契約は公正証書ですることが要件になっていますので、公証人役場で作成してもらいます。この際、公正証書で遺言書を作成して、ご自分の気に入った人(例えば、姪)に遺言を取得してもらう内容にしておかれる人もいます。本件の例ですと、あなたの父母も他界しているので、遺言書がないと、法的に兄弟姉妹があなたの遺産を相続することになってしまいますので。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005