弁護士コラム

相続放棄と相続分の放棄column

2017.08.02

Q:相続放棄と相続分の放棄とは、どの点が異なるのですか。

A:相続放棄も相続分の放棄も、いずれも、プラスの遺産を相
続できなくなる点は同じです。また、いずれも、被相続人の
死亡(相続開始)後に行う手続である点も同じです。
両者で大きく異なる点は、被相続人の債務(相続債務)を
免れるか否かという点です。相続放棄は、相続債務の負担を
免れますが、相続分の放棄では、相続債務の負担を免れませ
ん。この点は注意を要する点です。
尚、相続不動産の登記において、「相続分がないことの証
明書」という書面が利用されることがあります。これは、遺
産分割手続や相続放棄の手続を経ないで相続登記手続をする
ための簡易な便法ですが、実体と合わないことが多く、何か
と後の紛争の原因になるリスクがありますので、注意が必要
です。

弁護士 田 中  宏 幸

06-6630-3005