弁護士コラム

田中弁護士の弁護活動(2)~離婚事件~column

2013.04.29

ある離婚事件で1回の調停で解決に持ち込んだケースをご紹介しましょう。

通常、離婚調停は3回から5回くらいの調停期日を重ねて合意に達して調停成立に至るケースが平均的かと思います。
また、当事者の方にとっては家庭裁判所に行くのは思った以上に精神的に大きな負担になっています。
これまでの夫婦間の争いや相手方の両親とのやり取りでの精神的な疲弊が重なってうつ症状に陥っておられる方がおられます。
うつ症状になっておられると、調停期日に出席すること自体がうつ症状をさらに悪化させる恐れがあります。
ある依頼者の方はうつ症状に陥っておられ、呼吸も苦しくなる症状をきたすことから、2回目の調停期日に出席することが危うい状態でした。
離婚調停の場合、当事者ご本人が調停期日に出席しないと、本人の離婚意思を裁判所が確認できないことから調停を成立させることができないのです。
調停が午後1時30分から始まり3時30分頃になると、調停委員の方がその日の調停は一旦終わりにして次回の調停期日に続行する雰囲気になりました。
しかし、依頼者の様子を見るととても次回の調停期日には出席できそうもありませんでした。
そこで、私は調停委員の方を強く説得してその日に成立になるように引き続き調停を続けて頂くようにやや強引に主張しました。私の勢いに押されたのか結局調停がその日に成立しましたが、時刻は何と午後6時30分を過ぎていました。
調停は通常遅くても4時頃には終了するもので、午後5時は裁判所職員の方の勤務終了時刻ですし、それから1時間30分も経過していました。裁判官や調停委員や書記官の方には大変ご迷惑をお掛けしましたが、依頼者ご本人にとっては1回の調停期日で成立したのはうつ症状にとっても良かったことと思います。
このようなことは裁判官のご理解がなければとても出来なかったことでしょう。裁判所のご配慮にとても感謝しています。

大阪・難波(なんば)の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸

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