弁護士コラム

動産の担保取得の長所と短所column

2014.01.17
Q:動産の担保取得の方法として譲渡担保と質権があるそうですが、債権者の立場に立ってその長所・短所を教えてください。

A:
①譲渡担保の長所としては、次の点が挙げられます。
a)債権回収の方法として、質権で要求される煩雑な競売手続を回避できる。
b)対象物の占有を設定者に委ねて設定できるので、事務機器や在庫商品を担保に取るのに適している。
c)絵画や宝石などの対象物を債権者が現実に占有してもよい。

②譲渡担保の短所としては、次の点が挙げられます。
a)実行方法が法定されていない。設定時に明確にしておかないと後日紛争になる恐れがある。
b)対象物の占有を設定者に委ねる場合の対抗要件である占有改定は第三者から分からないので、即時取得され譲渡担保権を失う可能性がある。

③質権の長所としては、次の点が挙げられます。
・商行為の場合、債権回収の方法として、債権者が任意処分することが認められている(流質契約)。

④質権の短所としては、次の点が挙げられます。
a)対象物の占有を設定者に委ねることが許されないので(占有改定が認められていない)、事務機器や在庫商品を担保にとるのに不向きである。
b)債権回収の方法としての競売手続は煩雑である。任意に質物を処分する「流質契約」は原則として禁止されている(商行為は例外)。

大阪・難波の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸

投稿者: 田中宏幸法律事務所

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