弁護士コラム

遺産分割の心得column

2014.08.14

遺産分割の協議がうまくいかない理由はどこにあるのでしょうか。

第一は、各種情報が相続人間で共有されていない所にあります。

ア)被相続人の遺産自体の情報。
被相続人と同居している相続人が遺産を隠して独り占めしようとすることは、相続人間の信頼関係を大きく壊すことになることは言うまでもありません。遺産分割は相続人間の信頼関係が崩れると困難な作業なのです。

イ)被相続人から受けた利益(贈与、お祝い金など)や被相続人に対して行ってきた貢献に関する情報。
これは特別受益とか寄与分とか言われるものです。この辺の情報はある程度共有しておく必要があります。まさに公平の観点に関わってくる事柄だからです。このとき大切なことは相続人だけで話し合いをするということです。ここに配偶者を入るとどうもややこしくなる傾向にあるようです。

ウ)被相続人との関わりに関する情報。
この中には被相続人が話したことの情報等が含まれます。高齢になってくるとどうしても愚痴が増えてくる傾向にあります。
例えば、長男に対しては次男夫婦の愚痴を言い、次男に対しては長男夫婦の愚痴を言うという具合に自分に対する同情を引きたくなるようです。その辺をある程度理解した上で被相続人からの話を理解しておくこともポイントの一つです。被相続人としては子供同士をもめさせようとは考えていなくても、このことが原因で遺産分割の時にこの話が噴出してくることがあります。

以上の情報の共有の問題は、被相続人と同居している相続人と別居している相続人がいるときに情報量の差が大きくなる傾向にあることは想像に難くありません。そのあたりの情報交換は日頃から何かの機会あるごとに行っておく必要があるかと思われます。

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弁護士 田中宏幸

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