弁護士コラム

相続放棄column

2014.09.05

Q:母の死後分かったのですが、母にはわずかばかりの預金の他に消費者金融業者からの借入金が多額にありました。
 相続人は母の借入金を支払わなければならないのでしょうか。

A:相続が開始したときには、プラスの財産の他、マイナスの財産である債務も引き継ぎます。
 つまり、原則として、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続することになります。
 本問のように、借入金の方が多い場合は、相続人は自分の責任外の債務を負うことになり、結果的に不当なことになります。
 このような不当な結果を避けるために相続放棄という制度が用意されています。
 相続の放棄は原則としてお母さんの死去したことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する方法で行います。
 相続放棄をすると、お母さんの相続に関しては、当初から相続人でなかったものとして扱われます。従って、お母さんのプラスの財産だけでなくマイナスの財産である借入金も相続しないことになります。
 なお、プラスの財産とマイナスの財産とどちらが多いか不明のときは、限定承認という制度があります。これはプラスの財産の範囲内で債務を負担するという制度です。もっとも、この手続は複雑ですので、この制度が利用されているのはわずかです。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005