弁護士コラム

特別受益とはcolumn

2014.12.01

Q:遺産分割において特別受益ということを聞いたことがあります。この特別受益とは何のことですか。

A:共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、多額の生前贈与を受けた相続人がいる場合に、その受けた利益のことを「特別受益」といいます。この場合、利益を受けた相続人は、いわば遺産の前渡しを受けたものとして、遺産分割においては、その特別受益分を相続財産に加えて、これを「持戻し」といいます。各相続人の具体的な相続分を算定することがあります。
この特別受益は、法定相続分を修正するもので、共同相続人間の実質的平等を図ることを目的としています。このため、共同相続人が同程度の利益を受けている場合には、このような扱いをしないことになります。
ここで注意すべきことは、贈与の場合、持ち戻しの対象となるのは、「相続人」に対する贈与のみです。相続人の親族(配偶者や子)に対して贈与があったことによって、その相続人が間接的に利益を得たとしても、原則として特別受益には該当しないということです。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005