弁護士コラム

遺産分割の方法column

2015.03.03

Q:私たち夫婦には、一人息子(当時15歳)がいましたが、25年前に交通事故で亡くし、それ以降、夫婦2人きりです。自宅の住宅ローンも完済でき、夫の両親も見送り、夫婦2人の年金で平穏に暮らしておりました。ところが、先日、夫が心筋梗塞で急死してしまいました。夫の遺産は、自宅(時価4000万円)くらいで、預貯金はほとんどありません。四十九日の法要が終わったとき、夫の妹(2人兄弟)が夫の遺産分割を要求してきました。どうすればよいのでしょうか。夫は遺言書を作ってくれていませんでした。

A:夫の遺言書がない本件は、妻にかなり厳しい面があります。夫の相続人は、子供さんもご両親もおられないので、妻と夫の妹の2人になります。そうすると、意外かもしれませんが、法定相続分は、妻が4分の3、夫の妹(2人兄弟)が4分の1とされています。この場合、夫の妹から夫の遺産の4分の1を要求されるとこれを拒否することができなくなります。
 そこで、遺産分割の方法としては、
㋐ 自宅の共有持分4分の1を夫の妹に取得させる方法(現物分割)がありますが、自宅は妻が全て取得したいということでしたら、
㋑ 遺産の4分の1に相当する1000万円を夫の妹に支払う方法(代償分割)もあります。
もし、1000万円は用意できないというときは、
㋒ 自宅を売却して売却代金の4分の1を夫の妹が取得するという方法(換価分割)もあります。
いずれにしても、夫の妹と話し合いをしてみる必要があります。夫の妹は、夫の遺産が自宅しかないとわかると、これまでの夫の妹との人間関係や夫の妹の経済力にもよりますが、遺産分割を求めてこないことがあるかもしれません。
 本件のような場合は、夫の妹には遺留分がありませんので、夫が財産を妻に相続させる旨の遺言書を作っていれば、妻が全財産を取得できたのです。子供がいないご夫婦の場合は、お互いが配偶者に全財産を相続させる旨の遺言書を別々に作っておくことが重要になってくるでしょう。
 なお、遺言書を作成する場合は、遺言書の要件を1つでも欠くと無効になってしまいますので、公正証書で作成しておくことをお勧めします。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005