弁護士コラム

任意後見制度column

2015.02.27

Q:私は75歳の女性ですが、夫に先立たれ長男夫婦とその孫たちと暮らしています。最近物忘れがチラホラ出てきた上に足腰も弱ってきて思うように外出することができず、銀行に行くのも一苦労しています。私が認知症になってしまったらどうなるのか心配です。私の預貯金や不動産などの管理等の財産管理をしてくれる人を今のうちに決めておいて、将来私が認知症になったときはその人に財産管理等を行ってもらえると安心なのですが、そのことを書面に書いておけば大丈夫でしょうか。

A:任意後見制度の利用を希望されているようです。任意後見制度は元気なうちに予めあなたの後見人になってくれる人や将来あなたに必要な支援をしてもらう内容を、自分で決めておくことができる制度です。今は大丈夫だけれども、将来の財産管理や生活が不安だという場合に利用されている制度です。この任意後見制度は、将来あなたの財産管理をしてもらいたいと望む人を自分で選ぶことができますので、安心です。
 この任意後見制度を利用する場合は、ご質問のように将来後見人になってもらいたい人との間で、単に口約束をしたり契約書を交わしておくだけでは足りませんので、注意が必要です。その契約内容を公正証書にしておくことが必要です。こうしておくと、任意後見の受任者はあなたが認知症になったときに、任意後見契約で定めておいた財産管理や身上監護(介護・福祉サービスの利用や医療・福祉施設への入退院手続や費用の支払等)に関する法律行為をあなたに代わって行うことができます。任意後見監督人が財産管理の内容をチェックしてくれますので、さらに安心です。
あなたの場合、この任意後見制度を利用する他、現時点から財産管理等を信頼できる人に行ってもらう契約もできます。これを財産管理契約といいます。
 この機会に、もしものときにあなたの財産を誰にどのように分けたいかを公正証書遺言として作っておかれる方も多いです。特にあなたの相続人となる人たちの間が不仲の場合はお勧めします。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005