弁護士コラム

離婚時の注意点column

2015.04.15
Q:結婚して7年、夫との間に5歳と3歳の子供がいる専業主婦です。サラリーマンの夫が2年前から浮気をしていて、週1~2回はスナックのホステスのマンションに泊ってきます。子供のことも考えて元に戻ってほしいと夫に言う度に、私に暴力をふるいます。家庭内ではほとんど夫婦の会話もなく、このまま婚姻生活を続けていくことはできませんので、離婚を決意しました。離婚の際の条件としてどのようなことを決める必要がありますか。

A:お尋ねの件につき、離婚の際に夫との間で決めておかなければならないことについて簡単に説明します。
1.まず、子供2人の親権者です。夫との間での話し合いで決まらないときは、最終的には子供の福祉の観点から裁判所が審判を出してくれます。収入がないから親権者になれないと悲観する人もおられますが、収入の多寡では決まりません。子供が幼いときは特に問題なければ母親が親権者になるケースが大多数です。
2.次に、養育費です。子供一人ずつにつき月額を決めます。一括払いは父親が了解すればよいでしょうが、毎月払いが原則です。また、子供が成人するまでが原則です。一旦養育費の額を決めても、子供の成長や父母の収入によりその増減は可能です。父母間で話し合いができなければ、家庭裁判所に調停申立をすることができます。
3.財産分与についてですが、婚姻中に夫婦で形成した財産であれば、夫名義か否かにかかわらず、財産分与の対象になります。夫の給与収入を夫名義で預金していても、離婚の際に夫婦で分けることになります。しかし、相続した遺産や贈与を受けた財産は各人の固有財産ですので、財産分与の対象外です。夫の退職間際の退職金は、財産分与の対象になるとの判断が裁判所で示された例がありますし、高齢者の場合、夫の年金の一部を妻に給付する旨の判断が示された例もあります。生命保険の解約返戻金も婚姻中に形成された分は財産分与の対象になることに注意してください。
4.慰謝料については、婚姻期間や離婚原因の程度(不貞行為の期間・程度、暴力の程度等)や相手方の資力にもよりますので、一概に金額を示すことはできません。本件では、夫の不貞行為や暴力の証拠を確保しておくことが大切です(例えば、写真、録音、手紙、メール等)。法廷に出ると否定する人がおりますので。
5.離婚の条件が決まるまで長時間かかるケースもありますが、離婚が成立するまでは、夫の収入で生活していた本件では夫に対し、婚姻費用の請求ができます。これに応じないときは、法的措置をとることができます。
6.離婚の条件が夫婦間で決まらないときは、調停の申立を家庭裁判所に対し行うことができます。もし、調停で合意に達しないときは、離婚の訴えを提起(訴訟)することができます。このときは、証拠が重要となってきます。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005