弁護士コラム

遺産分割協議の基本的姿勢column

2015.06.29

Q:これから私が中心となって兄弟で亡父の遺産分割の協議を始めるのですが、どういう姿勢で臨んだらよいでしょうか。
A:まず、お父さんの遺産のリストを作ります。その際、各遺産の根拠となる資料をコピーして、兄弟全員に配布します。つまり、あなたが管理している資料と同じものを他の兄弟も持つようにするのです。通帳の場合は、相談開始時(死亡時)のページだけではなく、それ以前のページも全てコピーすることが大切です。
このようにすることによって、お父さんの遺産に対する情報の少ない他の兄弟の無用の疑念を生まないようにするのです。
お父さんの遺産目録が完成した後に、相続人である兄弟全員が集まってどのように分けるかの協議に入るのがベストです。
そして、これまでの親子関係、兄弟関係など実情に合わせて誰がどの遺産を取得したいかの意見を出し合います。ここで大切なことは、基本は兄弟平等にするということ、基本を変更する場合は、それなりの合理的な理由を示すこと、これらの点について、相続人全員が冷静に話し合うことです。
このとき、相続人の配偶者を同席させるのはお勧めできません。配偶者は相続人の幼い時からの親子関係・兄弟関係についての認識の程度につき、大きな差があるからです。このため、兄弟だけだとすんなりまとまる話も、配偶者の意向により、こじれてしまうことが起こるのです。

弁護士 田中宏幸

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