弁護士コラム

相続財産の範囲⑵―遺産分割審判における預貯金―column

2016.02.29

(前回の続き)

Q:預貯金が当然に分割されているという理屈は分かるのですが、そのことがどういう場面で影響するのでしょうか。

A:特に家庭裁判所に遺産分割の調停申立を行ったときに、調停段階では預貯金を遺産分割の対象とすることに同意していても、調停が不成立となり、審判に移行したときに、一部の相続人が預貯金を遺産分割の対象とすることに同意しない場合です。この場合は、遺産の中から預貯金を除外した残りの遺産を対象として、遺産分割の審判がされることになります。

このため、特別受益を多額に受けている相続人が結果的に多くの財産を取得することになったり、逆に多額の寄与分のある相続人が十分な寄与分の効果を得られなくなるなど、実質的公平な処理が実現されないこともあります。このことは、立法上の不備というしかなく、立法で解決するしかないと思われます。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005