弁護士コラム

相続財産の範囲⑴―預貯金―column

2016.02.22

Q:相続財産の中に預貯金がある場合、この預貯金は遺産分割の対象から除外されると聞いたことがあるのですが、どういうことですか。

A:判例上、「預金等の金銭債権」は可分債権であり、遺産分割協議をするまでもなく、相続開始(被相続人の死亡)と同時に当然に各相続人の法定相続分に応じて、各相続人に帰属するとされています(可分債権当然分割論)。

このため、例えば、亡父の死亡時に預金が3000万円あって、相続人が子3人とすれば、3000万円÷3=1000万円の預金が、亡父の死亡と同時に各相続人に帰属しているので、遺産分割の対象にする必要がないということになります。

もっとも、相続人全員が預貯金を遺産分割の対象にすることに同意していれば、話は別で、遺産分割の対象に入れて協議ができます。通常は預貯金を含めて遺産分割の協議をしています。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005