弁護士コラム

賃貸不動産の相続問題⑷column

2016.04.28

Q:亡父の相続財産である貸しビルについて遺産分割協議をしたところ、どうしても、一人の相続人が取得する方法がとれず(代償分割不可)、1棟の貸しビルに複数の区分所有権を設定して、3人の相続人がそれぞれ区分所有権を取得することを考えています(現物分割)。この方法はどうでしょうか。

A:1棟の貸しビルを複数の相続人で区分所有権をもつという方法は遺産分割の方法としてあり得ますが、この方法によると、ビルの管理方法、例えば、電気、ガス、水道、清掃、エレベーター保守等について、その費用負担を予め決めておく必要があります。また、誰かが何らかの事情でその費用負担を履行しないときの問題も考えられます。そして、将来的にやってくる大小様々な修繕方法や費用負担の問題をめぐって紛争が起こることも考えられます。
このようなことを考えると、できるだけ、このような方法は避けて、換価分割を検討すべきです。

弁護士田中宏幸

06-6630-3005