弁護士コラム

特別受益⑵column

2016.05.27

Q:長兄が亡父の生前何回か現金の贈与を受けていたのですが、「特別受益」が認定されるためには、どういう点に注意する必要がありますか。

A:「特別受益」に関する贈与は、とかく古い話が多いこと、このため時期や金額を特定するための証拠が存在しないこと、父母のどちらからの贈与であるのかさえはっきりしないこと等々どうしても贈与の特定に困難を伴ないます。特別受益を受けた兄自身が認めていればよいのですが、そうでないときは、金銭の流れについて明確な証拠が必要になります。
その証拠として、例えば、亡父の通帳から兄へ多額の振込送金したことがわかる通帳、贈与契約の書類、時期、金額、目的などの記載された亡父の日記等が考えられます。
このような明確な証拠がない場合には、特別受益が認められる可能性は低いと思った方がよいでしょう。間接証拠を積み上げていって「特別受益」が認定されるケースもありますが、実際、特別受益が主張された内でこれが認められる審判の割合は1割程度ということですので、あまり大きな期待はしない方がよいでしょう。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005