弁護士コラム

特別受益⑴column

2016.05.20

Q:遺産分割の際に、「特別受益」という言葉を聞いたことがあるのですが、これはどういう意味ですか。

A:遺産分割において、遺言による相続分の指定がないときは、例えば、兄弟姉妹が相続人の場合は、各相続人の法定相続分は均等になります。しかし、「特別受益」のある相続人がいる場合は、具体的相続分を修正することが民法に規定されています(民法903条)。すなわち、被相続人から「遺贈」を受けた者、又は婚姻若しくは生計の資本として贈与を受けた者がいるときは、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額(例えば、2500万円)にその贈与の価額(例えば、500万円)を加えたもの」を相続財産(3000万円)とみなし、これに法定相続分の割合(例えば、3人兄弟なら3分の1)を乗じた相続分(3000万円×1/3=1000万円)を算出し、この相続分から遺贈又は贈与(特別受益)の価格を控除した残額が、特別受益を受けた相続人の具体的相続分(1000万円-500万円=500万円)とされることになります。
「特別受益」に該当するか否かは、贈与金額、遺産総額、他の相続人との衡平、被相続人の経済状況などを考慮して判断されます。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005