弁護士コラム

借地権の相続⑴column

2016.05.06

Q:先日亡くなった父は、借地上の所有建物に一人で住んでいました。長男である私は、建物の朽廃を防ぐため、遠方にいる弟と妹に相談することなく、父の家に住むことを考えています。このまま住んでいくことに問題ないでしょうか。

A:お父さんの遺産として自宅建物の他に借地権があります。従って、この自宅建物と借地権は、弟や妹との間で遺産分割をしておくべきです。そうしておかないと、建物は共有状態、借地権は準共有状態となったままです。弟や妹からは、
① 地主からの立退料を一人占めするのが目的で居住しているのではないかと疑われる恐れがあります。
② また、建物に無償で居住していることによる居住の利益について、不当利得返還請求を主張されたり、
③ 建物の明渡しを請求されたりと、紛争の原因になりかねません。
 他の共同相続人との関係悪化を防止するため、早急に亡父の自宅建物と借地権についても遺産分割の協議を行っておくべきでしょう。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005