Q:一人身の高齢者の財産管理方法として任意後見
契約があるというのをお聞きしたのですが、これ
はどういう契約ですか。
A:任意後見契約というのは、例えば、認知症の程
度が重くなったりして判断能力が低下した場合に
備えて、委任者(本人)の財産管理や身上監護に関
する事務を受任者(世話する人)に委任すること
を、予め公正証書という形で契約しておくもので
す。
この任意後見契約は、公証人役場で公正証書と
いう形で契約します。契約の内容は様々ですが、
典型的な契約内容に当事者の諸事情を加味して修
正していくことができます。
任意後見契約を公正証書で締結しても、直ちに
効力が発生するのではありません。委任者(本人)
の判断能力が低下して、家庭裁判所が任意後見監
督人を選任した時から任意後見契約の効力が発生
して、受任者が任意後見人として委任者(本人)の
財産管理などができるようになるのです。
ですので、財産管理を任意後見としてスムース
に行ってもらうためには、任意後見契約と同時に
前回ご説明しました「財産管理契約」を結んでお
いて、まだ元気なうちから財産管理や身上監護を
委任しておくと、より効果的といえます。
弁護士 田中宏幸