弁護士コラム

特定遺贈の活用column

2017.05.18

Q:これまでお世話になった人に対して、私の財産の一部を
差し上げたく思っているのですが、遺言に書いておくのに
良い方法はありますか。

A:結論からいいますと、お世話になった人に迷惑がかから
ないようにするため、①遺留分を侵害しない範囲で、②特定
の財産を特定遺贈し、③遺言執行者を指定した④公正証書遺
言を作成しておくと良いです。
上記①は、遺留分を侵害する内容ですと、遺留分権利者で
ある相続人から遺留分減殺請求をされる恐れがありますので、
これを避けるためです。
上記②は、特定遺贈でなく「包括遺贈」(例えば、遺産の
3分の1を遺贈する。)ですと、相続人と同一の権利義務を
有することになりますので、相続債務も引き継がせることに
なりますし、また、相続人と共に遺産分割手続にも参加させ
ることになるからです。さらに、遺贈を放棄するためには、
3か月以内に行う必要があるという期間の制限もあるからで
す(特定遺贈の放棄はいつでもできます)。
なお、特定遺贈か包括遺贈か区分が難しい場合があります
ので、弁護士に遺言内容を確認してもらうことをお勧めしま
す。
上記③は、特定遺贈の対象について名義変更手続等が必要
になるからです。
上記④は、以前ご説明したとおりです。

弁護士 田中 宏幸

06-6630-3005