弁護士コラム

公正証書遺言の盲点column

2017.04.28

Q:公正証書遺言を作成しておけば、将来の相続争いは起こら
ないでしょうか。

A:公正証書遺言は、紛争の恐れがなく、また、偽造・変造の
恐れがないという点で長所があります。
しかし、公正証書遺言でも、その遺言内容によっては、将
来の紛争の恐れが生じます。例えば、公証人は生前贈与の有
無について詳しく聴取することは基本的にありません。その
ため、生前贈与の点を看過して遺言内容を決めると、遺留分
を侵害していることもあり、将来の紛争の恐れが出てきます。
また、遺産の一部についての遺言内容になると、残りの遺
産について紛争の種を残すことになってしまいます。
さらに、公証人は、遺言能力については判断できる立場に
はありませんので、遺言能力について微妙な場合の対応が取
られるとは限りません。
このように、公正証書遺言にするときでも、将来の紛争の
恐れのないように遺言内容を精査する必要があります。その
ためには、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005