弁護士コラム

相続分の事前放棄column

2017.07.24

Q:長兄は、「父親から事業資金を十分出してもらったので、父
親が死んでも遺産はいらない。」と言っています。私としては、
その長兄の言った通りに今のうちに確実なものにしたいのです
が、できるでしょうか。

A:お父さんが死亡する前(相続開始前)に、特定の推定相続人
の相続分を確定的に失わせることはできません。
ただ、お父さんに遺言を作成してもらい、かつ、長兄に遺留
分放棄の手続をとってもらうことができれば、あなたの目的が
達せられることはあるでしょう。
結論だけ述べますと、
① お父さんの遺言で、全財産について、長兄に一切財産を相続
させないとか、遺贈しない内容の遺言を記載してもらうこと、
かつ、
② 長兄に遺留分放棄の許可申立の手続を家庭裁判所に行っても
らい、遺留分放棄許可の審判を得てもらうことです。
上記①②があれば、長兄は、お父さんが死亡した後、遺言に
不満でも、遺留分減殺請求もできなくなり、遺言に従うしかあ
りません。
上記①の遺言を作成する際は、慎重を期すため、弁護士に相
談されることをお勧めします。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005