弁護士コラム

遺言執行者column

2018.02.09

Q:遺言書を作成する場合、遺言執行者を指定しておくと聞い
たことがありますが、遺言執行者を指定しておいた方がいい
のでしょうか。

A:例えば、遺言で、相続分の指定(誰々に何分の1等と決め
ること)や一定期間の遺産分割の禁止といった内容だけを書
く場合は、遺言の内容を実現する手続は不要ですので、遺言
執行者の指定は必要ありません。
これに対し、子の認知、推定相続人の廃除、その取消とい
う内容の場合は、遺言執行者にこれを執行させる必要があり
ますので、遺言執行者を指定しておく方がよいです。また、
遺産分割の方法の指定(誰々に○○を相続させる)や遺贈を
内容とする遺言の場合は、この内容を実現するための執行が
必要になります。そして、遺産分割の方法の指定の場合は、
原則として遺産を受ける相続人が一人で手続することができ
ます。これに対し、遺贈の場合は、相続人全員の協力が必要
になりますので、相続人の中に協力しない人がいるときは、
遺贈の手続が進みません。このときは、訴訟を行うかあるい
は家庭裁判所に対し、遺言執行者選任申立てを行う必要があ
ります。従って、遺贈を内容とする遺言の場合は予め遺言執
行者を遺言で指定しておいた方がよいです。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005