弁護士コラム

遺言執行者の解任column

2018.03.12

Q:母の自筆証書遺言があり、遺言執行者は相続人である姉
の友人の弁護士です。この遺言執行者に対し、何度も相続
財産目録を交付してくれるように求めているのですが、母
の死後半年経っても財産目録を交付してくれません。どう
すればよいでしょうか。

A:遺言執行者は、就任後「遅滞なく」相続財産目録を作成
して、「相続人」に交付しなければなりません。この「相
続人」は法定相続人のことですので、たとえ遺言の中であ
なたに遺産を相続させないと記載されていても、法定相続
人であるあなたに対し相続財産目録を交付しなければなり
ません。
また、「遅滞なく」とは遺言執行者の就任後、2~3か
月程度が一応の目安と考えられます。
仮りに、相続財産目録の作成が終了していない場合でも、
その処理状況について相続人に対し報告する義務(善管注
意義務)があります。
従いまして、遺言執行者に対し、書面で期限を定めて財
産目録の交付を求めると共に、それが完成していない場合
は中間報告を求めるとよいです。それでも、遺言執行者が
これらの要求に何らの対応もしない場合は、家庭裁判所に
対し、この遺言執行者の解任請求をすると共に、所属弁護
士会に対する懲戒請求を行うことを検討してもよいと思わ
れます。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005