Q:前回の「賃貸人が事業のために使用する必要がある場合」について、「
正当事由」が認められなかった裁判例として、どういう場合がありますか。
A:例えば、賃貸人の店舗拡張の必要性及び家族の居住の必要性がある場合
でも、賃借人の営業の必要性及び建物の立地場所等が賃借人の営業上死命
を制する重要な影響があるとして、「正当事由」が否定された裁判例があ
ります。
また、スーパーを7店舗経営する賃貸人が、そのうちの1店舗でパンの
販売をする賃借人に対し、賃借人自らが店舗内でパンの製造販売する必要
性があるという事案では、賃借人は本件建物なしでは経営が立ち行かない
ことなどを理由にして、「正当事由」が否定された裁判例があります。
弁護士 田 中 宏 幸