弁護士コラム

借家契約の解約と「正当事由」―立退料①-column

2018.08.31

Q:借家契約の解約の際の「正当事由」の有無を判断するときに、
「立退料」ということが出てきますが、「立退料」とはどういう
ものですか。

A:借家契約の解約のときに出てくる「立退料」とは、建物の賃
貸人が賃借人に対して建物の明渡しを要求する際に、その代償
として支払う費用です。法律上は借地借家法28条に定める「
正当事由」を補完する役割を果たすものです。
もっとも、立退料はあくまで「正当事由」を補完するもので
すので、「正当事由」が十分認められる状況のときは、立退料は
必要ありません。逆に、「正当事由」が著しく低い場合は、立退
料の支払を申し出ても「正当事由」が認められない場合もありま
す。
立退料の金額については、必ずしも定められた計算方法があ
るわけではありません。① 移転のための実費(引越費用、新た
に借家を借りるための費用等)、② 借家権価格相当額、営業用
建物の場合は③ 営業補償を加味する場合が多いでしょう。
但し、近時の裁判例では、上記②の借家権価格相当額という
ことを使用せずに立退料を算定しているものもあります。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005