弁護士コラム

借家契約の解約と「正当事由」-立退料②-column

2018.09.10

Q:立退料を検討する際、「借家権価格」相当額が考慮されるこ
とが多いということですが、借家権価格はどのような方法で算
定されるのでしょうか。

A:借家権価格とは、借地借家法によって保護される借家権に基
づいて建物を使用収益することにより、賃借人が受ける経済的
利益のことをいいます。
「借家権価格」相当額の算出方法は、不動産鑑定士による鑑定
の基準とされている「不動産鑑定評価基準」によることとされ
ています。この基準によると、賃貸人の要請によって賃貸借契
約を合意解約する場合は、「差額賃料還元方式」に「収益価格
控除方式」を関連づけて借家権価格を求めることとされていま
す。
この「差額賃料還元方式」は、建物の経済的価値に対応した
適正な新規賃料と実際賃借人が支払っている賃料との差額を求
めて、これを賃貸借契約終了までの期間に対応した賃借人の経
済的利益を借家権価格相当額と評価する方法です。
「収益価格控除方式」は、(少し難しいですが、)建物及びそ
の敷地を自用として処分するときの価格から、賃貸することに
よる収益力から還元される価格を標準として評価した価格を控
除することにより算出する方法です。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005