弁護士コラム

借家契約の解約と「正当事由」―立退料⑤―column

2018.10.11

Q:立退料が必要でない場合はどういう場合でしょうか。

A:⑴ 立退料は、借家契約の解約申入れのときの「正当事由」
の有無を判断する際の補完要素という位置付けです。従っ
て、「正当事由」が備わっている場合には、立退料の提供
は不要になる場合があります。

⑵ 立退料の提供を考慮することなく、「正当事由」が認め
られたケース
都内の一等地にある老朽化した建物で映画撮影用の照
明器具の貸付業務を経営している賃借人に対し、建物明渡
しを求めた事案で、本件建物は既にその効用を全うしてお
り、その命数既に尽きているとして、「正当事由」があると
認め、立退料は不要であるとした裁判例があります。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005