弁護士コラム

自筆証書遺言に関する改正⑵column

2019.03.11

Q:自筆証書の遺言書の保管に関して新たに保管制度が創設され
たとのことですが、それはどういう制度ですか。

A⑴ これまでは自筆証書の遺言書は、これを紛失したり、不利
な内容の相続人により廃棄されたり、隠匿・改ざんされたり
する恐れがあり、この問題のため、相続をめぐる紛争が生じ
ていました。
また、自筆証書が遺言書の場合は、遺言者の死後、検認の
手続が必要でした。
⑵ これを受けて、公的機関である法務局で遺言書を保管する
制度を創設することになりました。そのメリットは、① 全国
一律にこのサービスを提供できること、② プライバシーを確
保できること、③ 現在問題になっている相続登記の促進につ
なげることが可能であることにあります。
また、法務局で遺言書が保管されると、検認手続が不要に
なりました。
⑶ 自筆証書の遺言書を法務局に対し、保管の申請をすると、
法務局で遺言書の原本を保管すると共に遺言書の画像がデー
タ化されます。
⑷ 遺言者が死亡した後、相続人の一人から、遺言書の写しの
交付・閲覧がされると、他の相続人に遺言書が保管されてい
ることが通知されます。
⑸ これにより、遺言書の紛失や隠匿等を防止できますし、相
続人が遺言書の存在を容易に把握することができるようにな
ります。
その結果、遺言者の遺言に託した最終意思を実現すること
ができ、かつ、相続手続きの円滑化に資することになります。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005