弁護士コラム

配偶者居住権⑴column

2019.06.28

Q:改正された相続法では、「配偶者居住権」というものが新た
に創設されたとのことですが、これはどういう趣旨で創設され
たのですか。

A:残された配偶者は、長年住み慣れた自宅での生活を継続する
ために居住権を確保しつつ、その後の生活のため、預貯金等の
財産をも一定程度確保したいと願うのが自然でしょう。
この点、改正前の下では、遺産分割においては居住権を確保
するために、残された配偶者は自宅の所有権を取得することに
なります。そうすると、自宅の土地・建物の評価額が高額なと
きは、遺産としての預貯金を取得できる金額を、十分に確保す
ることができなくなる恐れがあります。
そこで、改正法では、配偶者居住権の制度を創設したのです。
この制度は、配偶者のために居住建物の「使用」「収益」権限
のみがあり「処分」権限のない権利を創設することによって、
遺産分割の際に、配偶者が居住建物の所有権を取得する場合よ
りも、低い価額で居住権を確保することができるようにするこ
とが主たる趣旨です。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005