弁護士コラム

配偶者居住権⑵column

2019.07.05

Q:配偶者居住権はどういう場合に認められる(発生)のですか。

A:配偶者居住権が認められるための成立要件があります。
大きく2つあります。
1 1つ目の要件は、配偶者が相続開始の時に被相続人所有の
建物に居住していたことです。
① 「配偶者」の中には、内縁の配偶者は含まれませんので
注意して下さい。
② また、被相続人が建物の共有持分(例えば、持分2分の
1等)を有するだけでは、配偶者居住権は認められません。
但し、残りの共有持分を配偶者が有している場合(例え
ば、被相続人2分の1、配偶者2分の1の場合)には、
配偶者居住権は否定されません。
③ 「居住していた」というのは、配偶者がその建物を生活
の本拠としていたことを意味します。それ故、例えば、被
相続人死亡時に、たまたま配偶者が入院していたために自
宅建物にいなかったとしても、配偶者の家財道具が自宅建
物にあり、退院後は自宅建物に帰ることが予定されていた
ような場合は、「居住していた」ということは否定されま
せん。
2 2つ目の要件は、その建物について、配偶者に配偶者居
住権を取得させる旨の①遺産分割(協議でも調停でも審判
でもかまいません。)、②遺贈又は③死因贈与がされたこと
です。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005