弁護士コラム

手形を取立に回す際の注意点column

2014.06.09

Q:手形・小切手を取立に回す時、どのような点に注意したらよいでしょうか。

A:
⑴ 支払呈示期間
手形の「支払期日」その日とその後の2日間(これを支払呈示期間といいます)の内に支払呈示しておかなければなりません。支払期日前に取引銀行に対して手形を取立に回しておくと、取引銀行で支払呈示期間内に支払呈示してくれます。
⑵ 支払呈示場所
支払呈示期間内に支払呈示する場合は、手形記載の「支払場所」に手形を呈示します。ただ、実際は取引銀行に手形の取立を依頼すれば手形交換所を通してその「支払場所」に支払呈示してくれます。これに対し、支払呈示期間後に支払呈示する場合は手形記載の「支払地」内にある振出人の営業所又は住所において手形の支払呈示をする必要がありますので注意して下さい。
⑶ 手形の要式のチェック
まず、手形を受けとるときには、手形要件が整っていること、裏書が連続していることを確認するようにして下さい。手形要件の記載のない手形(例えば、受取人、振出日の未記載の手形)は未完成手形ですので、これをそのまま支払呈示しても有効な支払呈示にはならず、裏書人に対して支払請求(遡及権の行使)できません。手形を取立に回すときは必ず手形要件が全て記載されていることを確認して下さい。
なお、実際は振出日や受取人の記載のない手形が何ら支障なく流通していますが、これは単に全銀協の当座勘定規定や手形交換所規則において流通できるようにしているだけで、法律上は上記のとおり適法な支払呈示にはなりませんので、注意して下さい。
⑷ 取引の方式
取引銀行に対し手形の取立を依頼するときは、取立委任裏書や譲渡裏書等をして、手形の取立権限を取引銀行に与える必要があります。

大阪・難波の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸

06-6630-3005