弁護士コラム

株式を担保に取る方法column

2014.01.24
Q:株式を担保にとる方法について教えてください。

A:株券を担保にとる方法として質権と譲渡担保があり、このどちらかに法的性質は決定されますが、税金や担保実行の面でそれぞれ甲乙つけがたいので、どちらが有利でどちらが不利ということはありません。そこで銀行実務では、質権か譲渡担保かを明らかにしないで、単に有価証券を「担保として差し入れしました」とする方法がとられています。
いずれにせよ、株券を担保に取るには担保設定の合意(担保差入証)に加えて株券の交付が必要で、証券会社の預かり証、証明書等の書類を交付するだけでは足りません(但し、株式等保管振替という制度があり、顧客口座簿上に開設される質権口座への振替の記載を株券の交付とみなしますので、これを利用すれば株券の交付を受けることなく担保にとることができます。)。また、株主名簿に担保権者の住所氏名を登録する登録質、登録譲渡担保もありますが、登録が煩瑣なのでほとんど利用されていません。
担保取得に際して留意すべきことは株式の評価や法的制限を見誤らないことです。非上場の株式は市場価格がないので担保価格を厳格に査定しなければなりません。また、自己株式は原則として発行済株式総数の20分の1を超えて担保にとることはできませんし、適法に担保に取った場合も相当の時期に担保権を処分しなければなりません。
担保の実行方法は動産譲渡担保の場合と同じです。但し、譲渡制限の定めがある株式は、実行時に取締役会の承認が必要ですので注意しなければなりません。

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