弁護士コラム

手形盗難の場合の対処法column

2014.07.07
Q:A社振り出しの手形を受け取ったのですが、盗難に遭ってしまいました。どうすれば良いのでしょうか。

A:まず、警察に被害届を出すこと、そして、支払銀行(「支払場所」記載の銀行)に事故届を出して支払を止めてもらいます。ただ、銀行では当座取引先以外の者からの事故届は受け付けてくれませんので、振出人に頼んで事故届を出してもらいます。そうすると、以後支払いはされません。
ここで注意すべきことは、銀行は手形金を支払いませんが、手形不渡りとして扱うため、振出人は資金不足による不渡りでないことを明らかにするため、手形金額と同額の異議申立預託金を支払銀行に預託する必要があります。手形の支払呈示期間を経過すれば、支払場所の記載の効力がなくなるので、手形所持人は手形金の支払を振出人に対して直接請求しなければなりません。そのため、振出人に対して手形金を支払わないように頼んでおく必要があります。
そして、盗取された手形について公示催告を裁判所に申し出て、盗取された手形の無効宣言(除権判決)を得て、振出人から手形金の支払を受けることになります。但し、公示催告期間(6か月以上)中に手形を取得した者が権利の届出をすると公示催告手続は中止され、申立人と権利の届出人との間でどちらが権利者か争われ、行為者が善意取得していれば申立人は手形権利を失うことになります。

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