弁護士コラム

手形用紙の盗難の場合の対処法column

2014.07.04
Q:まだ記載していない手形用紙が盗難に遭いました。どうすればよいでしょうか。

A:盗難に遭った手形用紙がその後偽造されても、原則として手形上の責任を負うことはありませんが、例外的に、手形用紙の保管につき落ち度があり、手形を取得した者に保護されるべき事由があるときには、手形上の責任を負わされることがあります。
従って、偽造手形の流通防止、支払防止の手立てを取っておく必要があります。例えば、
1.新聞紙上に盗難紛失広告を出すこと、
2.支払場所になっている取引銀行に盗難紛失届を出すと共に、改印し、偽造手形の支払をしないように依頼しておくことが必要です。
ここで注意すべきことは、銀行は手形金を支払いませんが、偽造を不渡事由として手形不渡りとして扱うため、振出人とされた者は資金不足による不渡でないことを明らかにするため、手形金額と同額の異議申立預託金を銀行に一旦預託する必要があります。偽造であることが認められたときはこの異議申立預託金の返還を受けることができますが、この手続はかなりの困難を伴うのが実情です。

大阪・難波の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸

06-6630-3005