弁護士コラム

介護と相続対策column

2015.11.02

Q:高齢の母を残して父が亡くなりました。母は認知症も少しあり、自分で身の回りのことができないので、私が母と同居して面倒をみようと思います。近い将来、母の相続という問題が出てきますが、どういう点に気を付ければよいですか。

A:将来の母親の遺産分割のことも考えて、他の兄弟から母親の財産を使い込んでいるとか隠し持っているなど不本意な疑いを招かないように、母親の財産管理は誰がみても適正に処理されていることが後日資料で証明できるようにしておくことが重要です。

例えば、母親とあなたの財産は混同しないように明確に分けておくこと、母親の財産の移動は家計簿をつけたり、領収書を残したりすること、その都度、預金通帳を通して入出金すること等をお勧めします。母親が面倒をみてくれるあなたに感謝してまとまった現金を贈与するというときも、そのことを手紙に残しておいてもらうことが必要です。

あなたが勝手に現金を取ったとの疑いを招かないためです。また、母親が遺言書を作成できる状態なら、生前贈与については附言事項として、その贈与分は相続財産に戻さないでほしいという趣旨の「持ち戻し免除」の条項を加えてもらうとよいです。

 

弁護士 田中宏幸

06-6630-3005