弁護士コラム

遺言書の種類と長短⑴column

2017.03.29

Q:私も年ですので遺言書を作っておこうかと思っています。
遺言にはどういう種類があるのですか。

A:遺言には、大きく分類して、普通方式の遺言と、特別方式の
遺言があります。
普通方式の遺言には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言及び
③秘密証書遺言があります。
特別方式の遺言には、①危急時遺言(死亡の危急に迫った者の
遺言)、②伝染病隔離者の遺言、③在船者の遺言、④船舶遭難者
の遺言があります。この特別方式の遺言は例外的なものですの
で、普通方式の遺言について説明します。
⑴ 自筆証書遺言は、遺言者が遺言内容の全ての文と年月日と
氏名を自分で書いて、捺印することによって作成する遺言書
です。
この遺言は、証人が不要なので自分一人で作成できます。
ただ、パソコン等で印字して作成することはできませんし、
訂正・削除・変更するときはかなり不便な方法が必要とされて
います。ですから、訂正・削除・変更するときは、初めから改
めて書いた方が間違いありません。
自筆証書遺言の場合は、公正証書遺言と異なり、遺言者が死
亡した後に、家庭裁判所に申立てをして遺言書の検認手続をと
る必要がありますので、この点、面倒なものと言えましょう。
また、法律の要件を欠いたときは、遺言が無効となったり、
遺言内容が曖昧なために紛争を招くこともあります。
自筆証書遺言の原本は1通しかないため、その保管方法によ
っては、見つからなくなってしまうこともあり保管方法に気を
つかうことになります。
(次回に続く)
弁護士 田中宏幸

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