弁護士コラム

借家契約の解約と正当事由column

2018.05.17

Q:15年前から貸家を賃貸しているのですが、建物が老朽化してきまし
たので建替えの必要性が出てきました。そのためには、賃貸借契約を
終了して、借家人に貸家から出ていただく必要があります。
このとき「正当事由」がないと出てもらえないことがあると聞きま
した。
「正当事由」とはどういうことをいうのでしょうか。

A:これは借地借家法28条という法律の問題になります。同法28条は、
建物の賃貸人が解約の申入れをするためには、「正当事由」が必要で
あるとされる規程です。
これは賃貸人の意向だけで借家を追い出されることになると、借家
人の生活の安定が害されることになるため、借家人保護を図って一定
のしばりを加えたものです。
この「正当事由」としては、様々な判断要素があります。
① 賃貸人・賃借人双方の建物利用の必要性(これが主要な要素にな
ります。)
その他、補完的な考慮要素としては、
② 建物の賃貸借の従前の経過
③ 建物の利用状況
④ 建物自体の現況
⑤ 立退料等の提供
これらの要素を総合的に判断して、「正当事由」の有無が判断されま
す。
実際は、賃貸人と賃借人の双方のみで、「正当事由」の有無を判断す
ることは難しいといってよいでしょう。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005